さっきから、動悸が治まらない。
まるで犬のように部屋をうろうろして、それからソファに座って。
また立ち上がって、胸に手を当てる。
落ち着け、と言い聞かせるように唱えてみても、自分の心臓はコントロールできない。
不安か、期待か。
何か分からないものがない交ぜになって、自分を急かしたてているようだった。
「あれ、今日は随分雰囲気違うじゃん?」
「ウィル、さん…」
顔見知りつながりで集まった大勢で、温泉に行く日になった朝。
バスの前、大きな荷物を抱えていた遥鬼に声を掛けたのはオレンジの髪のひときわ目立つ男だった。
「可愛い服きてんね。や、いつも可愛いけど」
「あ…これ。香紫さんが買ってくれたんです。きょ、うのためにって」
「ふぅん?」
値踏みするようなウィルの目が、下から上へ。舐めるように動いて、そしてにやりと意地悪そうな笑みを湛えた。
そんな表情を見て、遥鬼は首を傾げる。
可愛いといわれたのだから、変ではないのだろうけど、ふと不安になった。
「何か、変…ですか?」
ウィルとは対照的に、不安げな瞳になった遥鬼を見てウィルは首を振る。
「ねぇ、男が好きな相手に服を贈る理由って知ってる?」
香紫は仕事の予定で、夜遅くに旅館へ着く予定だった。
彼からプレゼントしてもらったものだ。今更脱ぐわけにも行かない。
けれど早朝に言われた言葉が、遥鬼の頭を駆け巡っていた。
『脱がしたいって意味だから、今晩は気をつけないとね?』
この高鳴る心臓は、なにを思って高鳴るのだろう。
遥鬼は胸に手をあてる。
いまだ、触れ合ったのは唇だけ。
遥鬼が思うもっと触れ合いたいと言う欲求は、香紫にとっては子供すぎたものだと自覚している。
(どう、しよう…?)
彼が好きだ。
好きだから、この胸が高鳴る。
遥鬼は時計を見上げた。
まるで犬のように部屋をうろうろして、それからソファに座って。
また立ち上がって、胸に手を当てる。
落ち着け、と言い聞かせるように唱えてみても、自分の心臓はコントロールできない。
不安か、期待か。
何か分からないものがない交ぜになって、自分を急かしたてているようだった。
「あれ、今日は随分雰囲気違うじゃん?」
「ウィル、さん…」
顔見知りつながりで集まった大勢で、温泉に行く日になった朝。
バスの前、大きな荷物を抱えていた遥鬼に声を掛けたのはオレンジの髪のひときわ目立つ男だった。
「可愛い服きてんね。や、いつも可愛いけど」
「あ…これ。香紫さんが買ってくれたんです。きょ、うのためにって」
「ふぅん?」
値踏みするようなウィルの目が、下から上へ。舐めるように動いて、そしてにやりと意地悪そうな笑みを湛えた。
そんな表情を見て、遥鬼は首を傾げる。
可愛いといわれたのだから、変ではないのだろうけど、ふと不安になった。
「何か、変…ですか?」
ウィルとは対照的に、不安げな瞳になった遥鬼を見てウィルは首を振る。
「ねぇ、男が好きな相手に服を贈る理由って知ってる?」
香紫は仕事の予定で、夜遅くに旅館へ着く予定だった。
彼からプレゼントしてもらったものだ。今更脱ぐわけにも行かない。
けれど早朝に言われた言葉が、遥鬼の頭を駆け巡っていた。
『脱がしたいって意味だから、今晩は気をつけないとね?』
この高鳴る心臓は、なにを思って高鳴るのだろう。
遥鬼は胸に手をあてる。
いまだ、触れ合ったのは唇だけ。
遥鬼が思うもっと触れ合いたいと言う欲求は、香紫にとっては子供すぎたものだと自覚している。
(どう、しよう…?)
彼が好きだ。
好きだから、この胸が高鳴る。
遥鬼は時計を見上げた。
君の瞳は100万ボルト | 2010/08/12(木) 22:34 | |
ツイッター上での「ウィルフレッド」botが出来ました!
5時間置きのツイートと
ウィルに対して「おはよう」「おやすみ」「ウィル」「セオ」を含んだ言葉をツイートすると
反応するようになっております。
まだ試作段階なのですが、徐々に増やしていく予定です。
是非、フォローしてやってください^^
「@xxwilfredxx」
5時間置きのツイートと
ウィルに対して「おはよう」「おやすみ」「ウィル」「セオ」を含んだ言葉をツイートすると
反応するようになっております。
まだ試作段階なのですが、徐々に増やしていく予定です。
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「@xxwilfredxx」
君の瞳は100万ボルト | 2010/07/27(火) 19:09 | |
君の唇が俺の名前を呼ぶ。その声だけで、何もかもを捨ててもいいような気さえしてしまう。
1人を決めてしまうことへの恐ろしさは昔からあったのだけれど、今となってはもしもの事に脅えるなんて馬鹿げたことだと自嘲できるようだった。
「お、かえりなさいっ」
台所からぱたぱたとスリッパを鳴らして駆け寄る。
その姿はまるで主人を待っている忠犬のよう。
「ただいま」
誰かが自分を待っているという事。そしてそれがこんなにも愛おしく思える相手である事実に、香紫は自然と微笑んでいた。
伸ばした香紫の腕は自然に遥鬼の腰元に回されて、引き寄せられた体が一瞬だけ硬直した。
両手を添えるようにして頬を包む。髪に触れる。
柔らかな感触は、触れるものに安らぎを与えるほど。
「っ」
ぴくり、と大げさに震えてみせて遥鬼はキスを受ける。
これはいつもの、出迎えからの一環した流れだった。
「あ、あのっ」
瞼に触れた唇が離れると、遥鬼は見上げるようにして香紫に問いかける。
「ん?」
2人の身長差を埋める為に、少しだけ背伸びした遥鬼はそれでもまだ子供で。
細い腰に回された指は、何かを確認するようにそこに留まったまま。
「今日…の、予定…は?」
一緒に居たいのだと明らかに顔に出して、言いよどむ。
分かりやすい遥鬼の表情は、別に人の心の裏まで知り尽くした香紫でなくとも手に取るように分かってしまう。
この反応は到って正直なのか、それとも…?と心で予想して。
「どう、しようか…」
香紫は、その喉元を撫であげた。
ここには一体どんな言葉を閉じ込めているのか。
期待と緊張の入り混じる唇を開いて、直接に心を確かめてみたい欲求を押し殺した。
「…香紫さん?」
潤んだようにみえる瞳が自分を映し、あどけなく見開かれている。
完全に熟してはいない果実のようだ。
けれど、食べるにはまだ早いと言い聞かせるには、その肌はとても魅力的すぎて。
「俺の予定は…」
君次第だと、耳元へ囁いて抱き寄せた。
楽しむ為の我慢だと思う。
時間はいくら掛かってもいい。
ぎゅっと香紫のシャツを掴む遥鬼の指先。
これは拒否反応ではないのだから。
1人を決めてしまうことへの恐ろしさは昔からあったのだけれど、今となってはもしもの事に脅えるなんて馬鹿げたことだと自嘲できるようだった。
「お、かえりなさいっ」
台所からぱたぱたとスリッパを鳴らして駆け寄る。
その姿はまるで主人を待っている忠犬のよう。
「ただいま」
誰かが自分を待っているという事。そしてそれがこんなにも愛おしく思える相手である事実に、香紫は自然と微笑んでいた。
伸ばした香紫の腕は自然に遥鬼の腰元に回されて、引き寄せられた体が一瞬だけ硬直した。
両手を添えるようにして頬を包む。髪に触れる。
柔らかな感触は、触れるものに安らぎを与えるほど。
「っ」
ぴくり、と大げさに震えてみせて遥鬼はキスを受ける。
これはいつもの、出迎えからの一環した流れだった。
「あ、あのっ」
瞼に触れた唇が離れると、遥鬼は見上げるようにして香紫に問いかける。
「ん?」
2人の身長差を埋める為に、少しだけ背伸びした遥鬼はそれでもまだ子供で。
細い腰に回された指は、何かを確認するようにそこに留まったまま。
「今日…の、予定…は?」
一緒に居たいのだと明らかに顔に出して、言いよどむ。
分かりやすい遥鬼の表情は、別に人の心の裏まで知り尽くした香紫でなくとも手に取るように分かってしまう。
この反応は到って正直なのか、それとも…?と心で予想して。
「どう、しようか…」
香紫は、その喉元を撫であげた。
ここには一体どんな言葉を閉じ込めているのか。
期待と緊張の入り混じる唇を開いて、直接に心を確かめてみたい欲求を押し殺した。
「…香紫さん?」
潤んだようにみえる瞳が自分を映し、あどけなく見開かれている。
完全に熟してはいない果実のようだ。
けれど、食べるにはまだ早いと言い聞かせるには、その肌はとても魅力的すぎて。
「俺の予定は…」
君次第だと、耳元へ囁いて抱き寄せた。
楽しむ為の我慢だと思う。
時間はいくら掛かってもいい。
ぎゅっと香紫のシャツを掴む遥鬼の指先。
これは拒否反応ではないのだから。
君の瞳は100万ボルト | 2010/07/23(金) 23:23 | |
君は何かを期待しているのだろうか。
緊張して蒸気する頬。ぴくぴくと反応する耳が可愛くてついイジワルしてしまいたくなる。
泣かせたくはないと誓ったのは、いつ誰にだったか。
そんな約束は、この瞳を前にすると好奇心に負けてしまうようだった。
(ほんっとに可愛いな、この子は…)
ソファにゆったりと腰掛けた体制で、遥鬼の腕をそっと引いた。
圧し掛かるようにして体を預けてくる彼の髪をそっと撫でる。
抵抗するわけでもなく、視線だけを泳がせて遥鬼は頬を赤らめた。
「あ、あのっ」
「んー…?」
慣れていない、とはまさしくこのことで。
首筋から顎のラインにかけて撫でてやると、遥鬼はすっかりと緊張で固まってしまう。
柔らかでしなやかな髪を撫で、もう一方の手は薄いシャツの下の感覚を味わう。
このもどかしい距離。
(もう少し、この感じも楽しみたいんだけどな…)
我慢していない、と言えば嘘になる。この感情を抑えるのも楽しいのだけれど。
「好きだよ」
今はまだ、君のペースに合わせて。
長い睫毛を震わせて瞬きをする君の瞼にキスを。
緊張して蒸気する頬。ぴくぴくと反応する耳が可愛くてついイジワルしてしまいたくなる。
泣かせたくはないと誓ったのは、いつ誰にだったか。
そんな約束は、この瞳を前にすると好奇心に負けてしまうようだった。
(ほんっとに可愛いな、この子は…)
ソファにゆったりと腰掛けた体制で、遥鬼の腕をそっと引いた。
圧し掛かるようにして体を預けてくる彼の髪をそっと撫でる。
抵抗するわけでもなく、視線だけを泳がせて遥鬼は頬を赤らめた。
「あ、あのっ」
「んー…?」
慣れていない、とはまさしくこのことで。
首筋から顎のラインにかけて撫でてやると、遥鬼はすっかりと緊張で固まってしまう。
柔らかでしなやかな髪を撫で、もう一方の手は薄いシャツの下の感覚を味わう。
このもどかしい距離。
(もう少し、この感じも楽しみたいんだけどな…)
我慢していない、と言えば嘘になる。この感情を抑えるのも楽しいのだけれど。
「好きだよ」
今はまだ、君のペースに合わせて。
長い睫毛を震わせて瞬きをする君の瞼にキスを。
君の瞳は100万ボルト | 2010/07/21(水) 20:54 | |
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このブログは「君の瞳は100万ボルト」
文字書き担当、辰美による小説ブログになっております。
このブログにはBL発言、同人発言など、未成年には相応しくない文字などがありますので
苦手な方や、未成年の方は回れ右でよろしくお願いします。
ABOUT「君の瞳は100万ボルト」
ソネットによる「Livly」を擬人化した、キャラクターのチーム名。
絵描きが1人、文字書き2人からなるサークルです。
BLや百合は勿論、リヴリー界自体をオリジナルで構成した深い深い世界観があります。
『Livly Island』『リヴリーアイランド』は、ソネットエンタテインメント株式会社の商標です。
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このサイトは『リヴリーアイランド』およびソネットエンタテインメント株式会社とは一切関係がありません。
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HP名:君の瞳は100万ボルト(仮
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ABOUT | 2010/07/13(火) 22:10 | |